金曜日, 8月 10, 2012

『レモンORピーチ?』

売り手と買い手に「情報量の差」があるため粗悪品の出回る市場を「レモン市場」といいます。
ここでいう「レモン」とは果物ではなく、アメリカでは質の悪い中古車のことを「レモン」、良質なものを「ピーチ」を呼ぶことにちなんでいるようです。
 
 レモン市場では、売り手は品質をよく知っているので中古車に相応の値をつけるが、買い手は品質の情報がないので中古車にあまりお金を払いたくない。
 売り手は、買い手の予算内では低品質の中古車を売らないと利益を上げることができない。
 低品質なので故障が多い→中古車の印象悪化→買い手の予算低い・・・と負の循環によりレモン市場ができ、ピーチは市場へ出られないのです。とても不幸な市場で、逆選択(買い手はピーチがほしいのにレモンを買ってしまう)やモラルハザード(売り手がレモンをピーチと偽って売る)がおきてしまうのです。
 分かりやすく、当たり前のような話ですが、2001年ノーベル賞受賞の理論です。

 情報量の差を解消(レモンにアフターサービスをつける、ピーチに第3者が保証書をつけるなど)をすれば、適正な価値で市場に出回ることができます。
 
 労働市場も採用側、応募者側の情報量の差で「ピーチ」な人材すべてが、能力を生かせる職に就けるとは限りません。ある会社にとっては「レモン」であっても、他の会社では「ピーチ」な人材ということもあるのでミスマッチがおきやすいことも容易に想像できます。
 
 今年はここ3年で新卒の内定率が一番よく、中小企業の比率が上昇しているようです。HPなどの普及により中小企業の良さが理解されはじめたようです。新卒採用に積極的な中小企業が、新卒就職先の選択肢に入ることはとても嬉しいですね。
 
 通年中途採用も中小企業で多いですが、応募者は自分の能力を把握し、会社情報もHPなどで得てから応募してきますが、採用側は履歴書と面接で判断するので自社にとっての「レモン」か「ピーチ」なのか判断情報が少なく、一歩踏み出せないことがあるかもしれません。
 実技試験をしてみる、試用期間を設ける、など解決方法は色々ですが、雇用に関する助成金なども上手に活用していきたいですね。年度末で改廃がありましたので、ご利用検討の際はお気をつけ下さい。

by 古橋