火曜日, 11月 29, 2005

情報を意思決定に役立たせるには

「最強の経営学:講談社現代新書」という本を最近読みました。
この本では、ITの発達した現代において、情報を経営判断に役立てるためには「 情報の四段階(データ・インフォメーション・インプリケーション・ジャッジメント)」を押さえる必要があるとされています。

私たち会計事務所が扱っている情報を、この四段階に当てはめてみると、「データ」には、一つ一つの仕訳が当てはまります。「日付・借方・貸方・金額・摘要」の5つの要素に絞って金銭の動きをデータ化しているわけです。

「インフォメーション」は、「データ」を集計して試算表や決算書を作成することです。仕訳だけでは見えてこない会社の姿を表の形にすることで理解しやすくします。

「インプリケーション」とは聞きなれない言葉ですが、「インフォメーション」をグラフ化したり各種比率を分析することで、中に埋まっている様々な傾向を読み取ることです。

「ジャッジメント」とは、「インプリケーション」で読み取った傾向をベースにして、設備投資や、人員の増加・削減、銀行借入などの経営判断を、行うのか行わないのか、はたまた先送りするのかを経営者が意思決定することを言います。

この四段階のうち、「インフォメーション」を作成するところまではどの会計事務所でも行っています(精度の差はありますが・・・)が、その上の段階までお客様に提供出来ている事務所はそうは無いようです。

石田会計事務所でも所長の石田は「ジャッジメント」段階のアドバイスを差し上げられていると私は思っていますが、我々スタッフがそこまで到達するのはなかなか難しいです。そこでスタッフ全員のさらなるレベルアップを目標に、新たなソフトの導入や分析ノウハウの共有を順次行っているところです。
by 小林雄

木曜日, 11月 24, 2005

講師の経験を通じて

私は三重大学で簿記の講師をしています。
パソコン講師など教える仕事の経験はありますが、教壇に立って授業をするというのは初めてです。
自分が勉強した時の経験をもとに、どこが、どのように理解しにくかったのかを考えながら授業の準備をしております。
しかし、授業は1対1の関係ではないため、深く説明しすぎても生徒は退屈しますし、逆にペースを上げすぎても生徒はついてこれなくなってしまいます。

教壇の上からは、納得している、理解しあぐねている、ほか事を考えているなど、表情から生徒の様子がよくわかります。(自分が生徒であるときも全てバレていたと思うと・・)
表情などの限られた情報の中で行われる一方的なコミュニケーション。
その難題に向かうことによって、自分自身とてもいい勉強になっています。

会計事務所の仕事においては、コミュニケーション能力がとても大切だと思います。何らかの形でこの経験を生かし、お客様に対するサービスを今以上に充実していければと思います。
by 浦井

金曜日, 11月 11, 2005

労災保険未加入の事業主に対する費用徴収制度

 従業員を一人でも雇っている事業主は、原則として労災保険の加入手続きを行なわなければなりません。
 これは、事業主の義務です。
 この労災保険の加入手続きを怠っていた期間中に従業員に労災事故が発生してしまった場合でも、従業員やその遺族に労災保険は支給されますが、その一方で、事業主は、その支給された保険給付額の一部を負担しなければならないことになっています。
  もちろん、別途、遡って労災保険の保険料も徴収されることになりますが・・・

 今年の11月1日よりこの労災保険未加入の事業主に対する費用徴収制度が強化されました。

<今までの制度>        
 労働基準監督署から労災保険に加入するよう指導等を受けたのにもかかわらず、 加入手続きをしなかった場合には、「故意又は重大な過失」により手続きをしなかったものと認定されます。                       
 この「故意又は重大な過失」により手続きをしなかったと認定された事業主は、労災保険未加入の状態で発生した労災事故につき一定の責任を負うことになります。   
 具体的には、従業員やその遺族に支給される保険給付額の40%を費用として負担することになっています。   

<今回の変更点>   
 労働基準監督署から労災保険に加入するよう指導等を受けたのにもかかわらず、加入手続きをしなかった場合には、「故意に」手続きをしなかったものと認定されます。              
 今までの制度との違いは、事業主が負担する割合です。    
「故意に」手続きをしなかったと認定された事業主は、労災保険未加入の状態で発生した労災事故につき従業員やその遺族に支給される保険給付額の100%を費用として負担することになりました。
つまり、保険料と保険給付額の100%を事業主が負担することになったのです。                   
  さらに、以下の内容が新たに追加されました。
労働基準監督署からの指導等を受けていなかったとしても、労災保険の適用事業となってから一年を経過するまでに、労災保険への加入手続きを行っていない事業主に対しても一定の負担を課すことになりました。
 この場合の負担は、保険給付額の40%です。            
 
 労災保険の保険給付の中には、従業員の死亡により生じる給付等のように給付額が高額になるケースも出てきます。このような費用を余分に負担しないためにも、労災保険への加入をお勧めします。
 
 費用徴収制度の詳細については、お近くの労働局や労働基準監督署にお問い合わせ下さい。


by 鈴木

金曜日, 11月 04, 2005

小規模企業共済

 節税対策の一つとして、小規模企業共済と倒産防止共済等があります。
 小規模企業共済とは、支払った額がその年の個人の所得税計算上、所得金額から控除することができます。また受取る時は、退職所得(又は雑所得の公的年金)とすることができ、所得税の計算上も有利になります。
会社の役員又は個人事業主で、その会社等の従業員の人数が20人以下(人数は業種によって異なります。)であれば、申し込むことができます。
 小規模企業共済の掛け金は、月最大7万円(最低千円からで五百円刻み)で年間84万円支払えば、税額としてその年の個人所得税額が6万円以上は少なくなります。
そして受取る時(受取金額はそれぞれの事由により変動:おおよそ80%~120%)は、退職所得等として計算できるため所得税の計算上有利に働きます。
 倒産防止共済は、支払った額がその支払った事業年度の費用として認められます。倒産防止共済の内容は、売上先が倒産等した場合その売上債権分の金額を借りることができます(掛金の総額10倍が限度となります)。ただし一度借りてしまうと、借りた金額の10分の1については掛金の総額から控除されます。また解約すれば掛金は戻ってきます(金額はそれぞれの事由により変動)。
 節税対策にもいろいろありますが、一番のお勧めは小規模企業共済です。節税という意味もありますが、老後の生活にも役にたつと思います。

by 水野 哲