木曜日, 11月 25, 2010

「記憶と記録」

 先日、片付けの最中に昔撮影したホームビデオが出てきた、と実家から連絡がありました。8ミリビデオで撮影したもので、再生する機械は既に処分していたのですが、最近は8ミリビデオからDVDに変換してくれるサービスがあるそうです。長年の間にカビが生えていた部分を除いてDVDに焼き直してもらったものを、実家に帰った機会に少しだけ見てきました。

 テープのうち主な映像は、1986年の1月にスキーに行ったときのものでした。(私の記憶には全く残っていませんでしたが・・・)今とは違ってゲレンデに子どもが多いところ、時代を感じさせる休憩所の様子なども興味深かったのですが、一番話題が弾んだのはその映像ではなく、テープの残りに少しだけ撮影されていた映像でした。

 それは、実家の周りの家・商店や、路上で私が遊んでいるところを写したもので、時間にすればものの3分というところです。しかし、現在はマンションが立ち並んでいる実家の周りに、豆の問屋さんやちょっとした植え込みがあるのを見て「懐かしい」「昔はこうだった」などと、昔の思い出話に花が咲きました。

 旅行などの非日常的なイベントの際には、物珍しさからあれこれと写真やビデオを撮影しますが、日常の風景や様子はありふれたもののように感じて、なかなかあえて撮って残しておいたりはしないものです。
 しかし、ずっと後になってから懐かしく感じたり、貴重なものに感じられるのは、このように何ということもない日常風景なのかもしれない、と少々考えさせられました。

 さらに余談ですが、最近、スキーシーズンに雪が少ないことがあると、「小さいころはこんなに雪が少ないことはなかった・・・」などと思っていました。しかし、24年前のビデオを見てみると、正月にもかかわらず積雪が全くなく、人工雪でわずかにゲレンデが作ってあるだけで、「昔は毎シーズン雪があった」というのはただの思いこみだったと分かりました。

 こうした間違った思い込みをもとに、将来「昔はみんな・・・だった」式の昔話をしないよう、記録をとってそれを見返すことも必要かもしれません。
 今は携帯電話のカメラなどで気軽に身の回りのことを撮影できることもあり、折を見て身の回りのことを記録に残しておきたいと思いました。

by 安藤

金曜日, 11月 19, 2010

税金の前払いを回避する

中小企業の経営者の方のなかには、個人所有の土地や建物を会社に貸し付けていることがよくあります。
会社から受け取る賃貸料収入は不動産所得の元となり、通常、確定申告して納税することになります。
ただ、実際に賃貸料をもらえていればよいのですが、昨今の不況により会社の資金繰りが悪いため支払いが滞っているケースがあります。
原則として、税金計算上は入金がない場合でも収益は計上しなければならないため、入出金ベースでみると収入よりも経費や税金の支払いの方が多くなることがあります。
今回はこのような税金の前払いを回避する方法を紹介いたします。

次の前提条件を元に説明いたします。
(1)前提条件
 ①本来の賃貸収入:年間120万円
 ②実際の入金額:年間30万円
 ③経費の支払:年間10万円
 ④青色申告特別控除額:年間10万円(青色申告特別控除前の所得金額が限度額です)
 ⑤所得税と住民税の合計税率:30%

この場合、原則として下記のように税額を計算します。
(2)原則計算
・不動産所得 ①-③-④=100万円
・税額 100万円×30%=30万円
・キャッシュフロー ②-③-30万円=▲10万円
この場合、所得は発生しているものの、資金的にはマイナスになります。
ある意味、税金の前払いをしている状態です。

ところが、所得税法では一定の要件を満たした場合に、現金主義(入出金ベース)で所得を計算することが認められています。
この場合は税額計算は以下のとおりになります。
(3)現金主義計算
・不動産所得 ②-③-④=10万円
・税額 10万円×30%=3万円
・キャッシュフロー ②-③-3万円=+17万円
このように、現金主義を選択することにより、手元残ったお金(利益)以上に税金を払うことが防げます。
上記の場合、(2)と(3)における手元現金の差は27万円になりますが、これはあくまで1年間の金額で、5年になればその差は135万円にもなります。

一方、この計算方法には以下のようなデメリットもありますのでご注意ください。
・一年分を超える入金があると逆に納税額は増加する。
・青色申告特別控除額について65万円は適用できず、また、入金額が少なすぎると青色申告特別控除額10万円の権利が全額行使できないことがある。
ちなみに、メリットがある方のイメージ像は、事業所得がなく、賃貸収入が年間300万円以下で、入金額がそれよりも少ない人です。

そして、現金主義で所得計算するためには、以下の手続きと要件があります。
・手続き
 青色申告者で、通常は適用を受けようとする年の3月15日までに届出書を提出する必要があります。
・要件
 適用する年の前々年の不動産所得と事業所得の合計額(青色専従者給与を引く前)が300万円以下でなければなりません。
 (届出がされていても、2年前の上記2つの所得合計が300万円を超えていれば適用できませんので、300万円を超える可能性がある場合は、あまりメリットがありません。)

いずれにしても、納税額の増減は一時的なもので、最終的には清算されます。
あくまで、前払いを防ぐための方法とご理解ください。
来年の3月15日までに届出をすれば平成23年から適用できる可能性がありますので、ご興味のある方は一度担当者までご相談いただければと思います。

by 加古宗利

火曜日, 11月 16, 2010

接客と販売

わたしはウインドショッピングが好きで、休日や時間が空いたときなど何を買うというわけではないのですが、ふらっとお店を見て回ります。当然のことですが、どのお店の店員さんも、私に商品を売り込もうと様々な言葉で話しかけてきます。

 「何かお探しですか?」と質問を投げかけてくる店員さんもいれば、わたしが見ているものから何を探しているのか推測して、「まだ入荷したばかりの、こちらの商品はいかがですか。」とお勧めの商品を直接売り込む人もいます。
まったく買うつもりがなく、ただ見ているだけのときは何を言われてもさらっと聞き流すのですが、例えば「大きめの鞄が欲しいなあ。」とか「寒くなってきたし、そろそろコートが欲しいなあ。」などと、ぼんやり頭の中に描いたものがあるときは、店員さんの勧め方次第で購入してしまうことがあります。どの店員さんも、親切丁寧で、お客さんに買ってもらいたいという思いは同じにも関わらず、その違いは何だろうといつも不思議に思っていました。

 先日、接客についての本を読んだ際、接客と販売についての違いについて書いてあり、なんとなく私の疑問は解決しました。その本には、「接客とはお客様の『いま』を満足させるために努力を重ねていくこと。」とありました。 「『いま』なんとかしてほしい。」それに対応するのが接客の仕事だということです。
それに対して「販売はお客様に少し先の『未来』をイメージしてもらい、幸せな気分を味わってもらうこと。」とありました。お客様によって未来は異なるため、「なりたい姿」というキーワードでお客様とコミュニケーションをしていく作業 が販売なのだというのです。

 確かに、丁寧な言葉であれこれと商品を説明してもらい、すばらしい接客を受けるよりも、「その商品はこんな時にも使えます。」とか「こんな洋服に合わせることもできます。」など、その商品を買ったあとのメリットをより具体的に思い描けるほうが購買意欲も増すような気がします。
 接客と販売は、同じようで実は大きく違うのだと、自分の体験に置き換えることで実感できました。

by 板谷

金曜日, 11月 12, 2010

手にとってもらう工夫

 先日テレビで、最近注目のお豆腐メーカーの成功の秘密を放送していました。
そのメーカーはお豆腐の味が美味しいのはもちろん、パッケージに工夫をし、売上を伸ばしているのだそうです。
パッケージにはお豆腐の種類によって、その特徴を活かして調理されたお豆腐の写真が、美味しそうに印刷されていました。
これはスーパー側がアイディアを持ち込んで実現したそうです。

 そういえば最近のスーパーでは、昔からある「試食販売」に加え、今夜のおかずの提案ということで、売り場を工夫してその料理の具材や調味料を一か所にまとめていたり、レシピも一緒に配っていたりします。
料理初心者の私にとってはとてもありがたいことで、スーパー側の企画に喜んで乗っかっています。

 スーパーに限らず、出版業界ではケーキの作り方の本にケーキを焼くときの型がセットになっている本がヒットしていたりと、「商品と使い方のアイディアのセット」という売り方をすると、消費者も手にとりやすいのかなと感じています。
メーカーではHP等で自社商品の使い方についてのアイディア募集も行っていたりして、インターネットの普及により、消費者との双方向のアイディアのやりとりも進んでいます。

 商品そのものをより良いものにしていくのはもちろん、消費者側の目線で売り方やパッケージを工夫して、アイディア勝負でファンを増やそうという努力には頭が下がります。

by 加藤

水曜日, 11月 10, 2010

「中小企業憲章」

「中小企業憲章」とは政府が中小企業支援を宣言したもので、今年の6月に制定されました。
制定に至るまで5年以上の年月をかけ、憲章の趣旨普及のため、自治体ごとに条例の制定も行われているようです。

 日本において中小企業は99.7%、労働者は70%を占めており、まさに社会の主役ともいえます。近年、世界的に見ても中小企業への期待が高まっており、EUでは2000年に「欧州小企業憲章」が制定され、日本では、2004年の「中小企業白書」で「中小企業は経済社会を先導する存在」としています。
「中小企業憲章」の基本理念の中で「中小企業は国家の財産」とされているように、中小企業の評価が見直されています。
 
 機会があれば是非読んでいただきたいのですが、具体的支援策を少し紹介したいと思います。

●中小企業倒産防止共済制度が充実
 取引先が倒産した場合、売掛債権額又は積立金の10倍のどちらか低い金額を上限に無利子・無担保・無保証人で借入でき、連鎖倒産を防ぐ制度です。
 従来、共済金の貸付を受けられるのは取引先の法的整理・銀行取引停止処分の場合でしたが、今年の7月からは私的整理の開始通知(弁護士等からの支払停止通知等)の場合にも利用できるようになりました。また、来年秋には貸付金額の上限が引き上げ予定です。

●小規模企業共済制度の加入対象拡大
 平成23年1月から加入対象者が共同経営者(配偶者や後継者等)に拡大されます。退職時や老後の備えが、社長になる前の後継者からできるようになります。加入状況を見直す機会にしたいですね。
 今後、石田会計ニュースでも詳しく紹介予定です。

●適正な下請け取引の推進徹底
 元請との関係から色々遠慮しがちな下請ですが、不当な下請代金減額には政府が返還指導を行い、平成20年実績で270社、返還総額は12億円だそうです。「下請かけこみ寺」という相談窓口もあるので困った出来事があったときには専門家に相談して下さい。

 その他にも、景気対応緊急保証・セーフティネット等の資金繰り支援策、人材育成支援の助成金、官公需契約(公共事業等)の中小企業比率増加目標、JETROの海外見本市出展費用補助等の海外販路開拓支援、中小企業応援センターでの相談体制整備などがあります。

 一部の紹介しかできませんでしたが、従来の制度が中小企業向けに拡充されていく方向のようです。
 石田会計で関与させていただいているお客様は大半が中小企業です。今後も国の中小企業支援策が多く出てくることを願いつつ、タイムリーにご紹介できるよう情報収集に努めていきたいと思います。

by古橋

月曜日, 11月 01, 2010

「空の旅の変化」

 厳しい残暑も終わり、行楽に適した季節となりました。良い気候ですので、旅行に行かれた方やこれから行く予定だという方が沢山いらっしゃるかと思います。普段とは違う体験ができるので私も旅行は好きですが、そんな私が最近気になった話題が格安航空会社(Low Cost Carrier=LCC)についてのニュースです。

 格安航空会社は、徹底的なコストの削減とサービスの簡素化及び有料化によって、安い価格で航空輸送サービスを提供する航空会社です。価格は大手運賃の2~6割安と言われているようで、全日空が別会社を設立の上、参入するというニュースが先日ありました。
空飛ぶホテルと呼ばれるくらい豪華な席を持つ旅客機も海外にはありますが、今後の主流はLCCとなってくるようです。

 サービス有料化の代表例として、機内食の有料化がありますが、旅の楽しみの一つととらえている人もいる反面、安くしてくれるなら無くても構わないと思っている人も多いと思います。個人的には、機内食のおいしさを楽しみつつも、座っているだけで動かないのに食事の回数が多く、食べすぎだなと長時間のフライトの際は感じます。
 また、一部のみの話ですが、運賃のさらなる低価格を目指して機内トイレの有料化、立ち乗り席の設置に向けて動き出している航空会社もあるとのことです。立ち乗り席については計画されている図をインターネット上で見ることができたのですが、なんだか遊園地のアトラクションの様に思え、本当に実現するの?といった感じでした。ただ、どんなサービスをどこまで求めるかは個人で千差万別ですし、実現した際にはどのように受け入れられるのか、とても興味があります。

 なんでもただ安くなれば良いとは思いませんが、人によっては余分と思えるサービスの有無を選択できるようになることは消費者としてはありがたいことです。
 長旅では快適さを重視したいが、数時間の距離であれば安さを優先させたい、というように、状況によって使い分けができるようになれば今までより気軽に飛行機が使えるようになる気がします。
 近々の予定はありませんが、来年くらいにはリーズナブルに海外旅行など空の旅ができたらいいなと思っています。

by 松浦