月曜日, 4月 19, 2010

いくら売ったら儲かるのか

経営者の方々が、経営判断をする上で必要となる情報は様々ですが、なかでも必須の指標といえるものに損益分岐点があります。
これは、文字通り利益と損失の境目となる売上金額という意味です。
多くの会社において、売上目標を掲げて日々営業されているかと思いますが、赤字にならない最低売上金額を即答できる方は意外と少ないのではないかと思います。

例えば、ある八百屋さんの損益計算書のうち、売上合計が1,000万円、費用合計が1,100万円で利益が▲100万円であるとします。
費用合計のうち、変動費である仕入(=売上原価)が600万円とすると、それ以外の費用(人件費や家賃などの固定費)は500万円ということになります。
この場合の計算方法は以下の通りです。
・売上合計:1,000万円
・費用合計:1,100万円
・変動費:600万円
・限界利益率:1-(600万円÷1,000万円)=0.4
・固定費:500万円
・損益分岐点:500万円÷0.4=1,250万円

この八百屋さんの場合、1,250万円まで売上を増やせればトントンで、それ以上に売上を増やせれば利益が見込まれることになります。
また、利益目標が200万円の場合の分岐点の計算方法は、固定費に利益額をプラスした金額で行いますので、1,750万円(=700万円÷0.4)と計算できます。

そこで、損益計算書を元にして、以下の手順により会社の損益分岐点を計算してみてはいかがでしょうか。
①売上合計を計算する。
②費用合計を計算する。
③費用合計のうち、売上の増加に比例して増加する費用(変動費※)をピックアップして、合計する。
④限界利益率(一般に小売業や卸売業では、粗利率と同義語となります)を求める。
 1-(③÷①)
⑤固定費を求める。
 ②-③
⑥損益分岐点を求める。
 ⑤÷④
 ※固定費と変動費の判断は非常に難しいため、明らかに変動費といえるもの以外は固定費にされるとよいと思います。

御社での計算結果はいかがだったでしょうか。
もちろん、この結果は絶対的なものではありませんが、全体像を把握する上で重宝します。
そして、会社全体の金額を把握した後は、決算期ごとに計算して比較したり、事業部別や部門別、社員別へと掘り下げていくことにより、より具体的な売上目標を計算することができます。
ぜひ、ご活用いただきたく思います。

ただし、上記は利益計算上のものであるため、損益分岐点以上の売上を確保していれば必ずしも資金繰りに困らないというわけではありません。
そこで次回は、資金繰りを考慮した場合の分岐点について書いてみたいと思います。

by 加古宗利