あらかじめ欲しいものは決まっていて、値段も内容もじっくり検討したはずなのに、いざ購入する段になって、目当てのものよりも高くて、自分には不要なものを買ってしまっ た経験はありませんか?
もし人がいつも合理的に行動するなら、上のようなことは起こらないはずですが、自分の身の回りを考えてみると実際にはそうでもないことがよくわかります。
年末年始に読んだ「予想どおりに不合理」(早川書房,ダン・アリエリー,2008)という本 では、様々な実験を通じて、コロンビア大学の学生などの十分「合理的」に行動しそうな 人々が、ちょっとした作為をするだけでいかに「不合理」に行動するかということが示さ れています。
ここにはとても挙げきれないのですが、読んでいるだけで「あるある」とい ってしまいたくなる実験がこれでもかとつめこまれています。
とくに感心した実験とよく似た経験をしたことがあるので、(少し恥ずかしいですが)披露し てみます。
● 電車で旅行に行こう、と思い、値段を調べて旅行会社に行ったところ、カウンターで「こ んなのもありますよ」といって下の表を見せられました。
①電車のチケット 2万円
②飛行機のチケット 3万5千円
③飛行機と宿泊(1泊分)セット 3万5千円
これを見た私は、(②は③にくらべて明らかに損だ。同じ値段で宿泊までついているなんて、③はお得だなあ。電車で行こうと思っていたけれど、飛行機で行ってもいいな。よし、 ③にしよう)と思い、結局飛行機+宿泊のチケットを買ってしまいました。
よくよく考えてみると、目的地は飛行場からは遠く、宿はインターネットで探せばもっ と格安なところがあったのですが・・・
これに似た実験が書かれていたのは『選択肢に「おとり」を設定すると、特定の選択肢 に顧客を誘導することができる』という章なのですが、この買い物をしている私は見事に 「おとり」に惑わされています。
つまり、「おとり」(真ん中の選択肢)を避けて、それとくらべて「お得」であったもの を賢く選んだつもりが、結局は自分の欲しかったものより高くて、本当は必要ではない3 つめの選択肢にまんまと誘導されてしまっているのです。
この本を読んで、示された実験を追っていくうちに、自分がいままで「賢い買い物をし た!」と思っていたのが本当にそうだったのか疑問になってきます。
考え出すと、その場では非常に賢く立ち回っているつもりで、実は誰かの「予想通りに、不合理な」行動をとっているということもたくさんあったように思えて、反省するよりも なんだか面白くなってくるほどです。
とりあえず、年始の初売りで「賢くお得な買い物だ!」と考えて買ったものは、本当に 「お得」だったのか?から考えてみたいと思います。
by 安藤