木曜日, 11月 22, 2012

「挫折と再起」

 京都大学の山中伸弥教授が、あらゆる組織や臓器に分化する能力があるiPS細胞を開発して、ノーベル医学生理学賞を受賞しました。
iPS細胞の開発を発表してからわずか6年で賞に輝きましたが、それまでは挫折と再起の繰り返しだったそうです。

 最初の挫折は、整形外科の研修医だった頃で、治すことができない数多くの患者がいるという現実に直面したり、
他の医師が30分で終わる手術に2時間かかり、向いていないと痛感したことでした。
その後は基礎研究に転換し、大阪の大学院で研究の基本を学んだ後、外国の研究所に留学して研究に打ち込みましたが、帰国後二度目の挫折を経験しました。
研究資金も少なく、実験用のマウスの世話ばかりで、研究だけに没頭できる米国の環境との落差に苦しみました。
そんなとき、米国の研究者がヒトES細胞の作成に成功したというニュースに励まされたり、奈良の大学院の助教授の公募に通ったことが救いとなり、現在に至ります。

 これまでの経緯を聞いて、挫折は人生において大切なことだと改めて思いました。
挫折することにより、今まで当たり前のように与えられていた環境やチャンス、幸運などに改めて気付き感謝するきっかけになったり、
自分に足りないものを自覚し習得するきっかけになったり、相手の気持ちがよく分かるようになります。
また、今まで偶然乗り越えられてきたことも、色んな状況を踏まえて、自分の真の力で突破することができるようになるのではないかと思います。

 ただ、挫折だけではなく、時には周りから見て自分の能力では現実的でないと思えるようなことでも、自分を信じて脇目も振らず一心に、目標に向かって進むことも大切だと思います。
そういうときは、周りが見えていなかったり、迷惑を掛けていたり、犠牲を伴うことも多いですが、自分の枠を超えた大きな目標も成し遂げてしまえるほど、
爆発的なエネルギーを出すことができると思います。

 しかし、ずっと周りが見えていない状況が続いては、人として成長できないことも多いと思いますので、
やはり挫折も経験しそれを乗り越えてこそ、成功に繋がりまた、より充実した人生をおくることができるのではないかと思いました。

by 石井