火曜日, 6月 29, 2010

決算月はいつが良いか?

「決算は何月ですか」と質問した場合に、経験上、一番多い答えは3月です。
しかし、決算月を決めた理由を尋ねると明確な理由がある場合は少なく、なんとなく決めたというケースが多い気がします。会社によっては設定月が重要となる場合がありますので、いつがベストかを考えてみたいと思います。

決算月の設定するにあたって考慮すべきことには以下のものがあります。

(1)資金繰り
原則として決算日後2ヶ月以内に納税をする必要がありますが、同時期に賞与など多額な支払いがあると資金繰りが悪くなります。決算月を変更して納税時期をずらせば資金負担が分散され資金繰りは改善します。
また、売上(利益)の多い月にしているとその分の納税がすぐ来てしまいますが、その月より前に設定することで納税を先送りすることができます。

(2)利益・納税予測
売上(利益)の多い月にしていると、予測のブレが利益・納税予測に大きな差を生みます。また、その後に決算対策をとることが時間的に困難なため、思わぬ利益・損失や納税を発生させるおそれがあります。
この場合は、売上の多い月より前の月に変更することにより、決算対策を検討する時間を作ることができます。

(3)決算作業
在庫のある会社では決算日に棚卸しが必要となりますが、在庫を多く抱える会社ではその時間的コストはかなりのものになると思います。そこで、在庫のもっとも少ない月を決算月にすれば、量が少ない分、コスト削減になると思います。
また、申告月(原則として決算月の翌々月)には、決算作業が必要となるため、業務上で比較的余裕のある月の2ヶ月前を決算月とすることも有効です。
圧倒的に3月決算の多い上場企業でも、流通業では閑散期となる2月を決算月としていることが多いです。

(4)会計事務所
一般に会計事務所では業務が集中する2~3月、5月、12月は忙しいため、それらの月を外した方がじっくり決算を検討する時間が取れるということもあります。
特に3月決算の場合、申告月が5月末となりますが、5月はゴールデンウイークがあるなど、時間的余裕も少ないため、決算作業があわただしくなります。

御社において変更するメリットはありましたでしょうか。
もちろん、「なんとなくかっこいいから・・・」という理由でも良いのですが、上記を考慮すると他にベストの月があるかもしれません。
一度ご検討頂ければと思います。
なお、変更に伴う手続きですが、定款の変更と税務署等に届出をすることが必要となります。

by 加古宗利