金曜日, 6月 18, 2010

私の癒し

 家には2匹の猫がいます。1匹は毛が真っ白の女の子「マミィ」、もう一匹は毛が茶色と白の男の子「ベル」です。
 年上のお姉さん猫マミィは、ベルのことを自分の子供のように思っていて、面倒見が良く誰にでも懐くお調子者の性格です。
 弟分のベルは、一見とても引っ込み思案に見えますが、自分が信頼した人に対してはとても甘えん坊でやんちゃな性格です。
 とはいえ、私は小さい頃から猫が苦手で、始めは仕方なく面倒を見てあげているという感覚で飼っていました。そんな私を猫好きに変えたエピソードを一つご紹介します。

 子猫のベルが家に来て間もない頃の出来事です。
 マミィは自分より小さい生き物に対して、どうしていいかわからないような顔をしていました。
 その日、悲鳴のようなマミィの鳴き声が聞こえたので、私は慌ててマミィの元へ駆けつけました。特に異常は見当たらないのに鳴き声が止まないので、何か私に異常事態を知らせたいのだと思い、一度深呼吸をして落ち着こうと思った時、ふとベルの姿がないことに気付きました。
 そこで、部屋中を探したのですが見つからず、鳴き声も止まなかったので、マミィの言わんとしていることを読み取ろうと、じっと見つめました。よく見るとマミィはずっと、コンポの上付近の破れた障子に向かって鳴いていたのです。
 もしかして?と思い破れた障子の穴から下を覗くと、窓と障子の隙間に挟まっているベルが、きょとんとした無垢な顔で私を見上げていたのです。呆れながらも救出すると、マミィの鳴き声はピタッと止まりました。
 きっとマミィにとって小さい生き物だったベルは、守るべき存在になっていたのだと思います。

 もちろん“猫語”が分かるわけではありませんが、一緒に生活していると表情や鳴き声の違いでだんだんと伝えたいことが分かってきます。反対にマミィとベルも私と同じように私の声のトーンなどで、私を知ろうとしているのかもしれません。
 猫も人間も同じなのだと親近感が沸き、苦手意識はいつの間にかなくなっていました。言葉が分からなくても、知ろうとする気持ちと伝えたいという思いで、コミュニケーションはとれるということを教えてもらいました。
 今では、マミィとベルは私が守るべき存在であり、同時に私を癒してくれる大切な家族の一員です。

by 村上