月曜日, 5月 07, 2012

「更正の請求の改正による影響」

“確定申告を間違えて税金を多く払ってしまった!?”そんなときに、是正を求める「更正の請求」という手続きがあります。聞いたことがないと言う方もいらっしゃるかもしれません。昨年の税制改正により大きな変更がありましたので簡単にご紹介したいと思います。

 まず、「更正」がそもそも何かというと…、例えば納税者が申告した内容に計算間違いや転記ミスなどがあったとき、または税務調査等によって税法違反が判明したときに、税務署が正しい税額に是正することを言います。増額更正と減額更正のどちらもあります。
 そして、「更正の請求」とは、上記のような間違いの場合で、所得や税額が過大であったときに、納税者側が税務署長に対して是正(減額更正)を求める手続です。(所得や税額を少なく間違えていた場合の是正については、納税者側が行うのは修正申告であり、税務署側が行うのは増額更正となります。)

 さて、改正で何が大きく変わったのかというと、更正の請求ができる期間です。従来は請求できる期間が1年だったのが、5年へ改正されました。これは、平成23年12月2日以降に申告期限が到来する国税について適用されます。しかし、それ以前のものについても従来の請求期間(1年)内であれば手続は可能です。また、請求期限を過ぎてしまったものについても別の手続より更正を求める方法が残されています。

 ここまで聞いただけでは有利な改正と思えるかもしれませんが、気にすべき点は、税務署側が“増額”更正できる期間も従来3年であったものが5年に改正されているところです。(不正行為によるものは従来どおり7年まで遡って更正されます。)
 今まで調査対象が通常3期分であったのはここに基づくもので、それが延長されたということは、今後順次にではありますが、5期まで遡っての調査がベースになってくる可能性があります。
 お客様においては、今後決算資料や総勘定元帳はもちろん請求書や領収書などの資料は、直近の5期分くらいはすぐ出すことができるよう、紛失などに気をつけながら資料の管理に一層の配慮をしていただきたいと思います。
 会計事務所としては、調査の傾向が変わってくるようでしたら、また何らかの形で情報発信していきたいと思っています。

by 松浦