木曜日, 5月 26, 2011

水たまり

 家の前の側道は水はけが悪く、雨が降ると3×1メートルぐらいの水たまりが2、3日続きます。車の乗り降りの時も靴が濡れたり、歩く時も大周りをしたり、私は少し困っていて、いつか水はけを良くしてやろうと思っていました。
 そんなある雨上がりの晴れた昼時に、天気も良く、少し暑いくらいなのに、その水たまりだけ晴れを否定しているように見えて、水はけを良くすることを本気で考え始めました。

 その時、一羽の雀が降りてきて水浴びを始めました。私は雀に悟られないよう、静かに見守りました。すると二羽三羽と雀が降りてきて、次から次へと気持ち良さそうに水を浴びて、飛んで行きました。雀がパシャっとするたび、水たまりの水が太陽の光でキラキラと光り輝き、雨が上がった嬉しさを雀が語っているようで、私はスローモーションのようなその光景に見とれていました。

 その光景を見て、子供の頃、冬になるとよくこの水たまりが凍って、ミニスケートをして遊んでいたことを思い出しました。近所にはこんなに大きく凍る水たまりはなかったので、冬になると家の前に子供が集まるのが誇らしかったことを、懐かしく思いました。

 水はけを良くしていたら、少しの利便性を手に入れる代償に、あの素敵な光景と思い出を失うところでした。
 自分にとって不要なものでも他にとっては必要であったり、時の経過により必要だったものを疎ましく感じたりというのは、よくある話かもしれません。何か改善をしようとするとき、スピードも大切ですが、それは本当に改善であるか、自分勝手なものではないか、一度立ち止まってじっくり考えるみることも大切なことだと思いました。
 水はけを良くするプロジェクトは、危険がない限り中止することにしました。(笑)

by 村上