金曜日, 6月 08, 2007

音と文字

 今年のゴールデンウィークは長くお休みを頂くことができたので、親の実家のある山形県に行ってきました。小中学生の頃は頻繁に法事などでよく帰ったものでしたが、最近は何かと忙しく、数えてみると十年振りの帰郷となりました。
 今回は立石寺や月山湖、羽黒山、最上川舟下り、蔵王などの観光地を回ることができました。

 親戚一同が集まった夜、私が翌日に行く予定の羽黒山への道順を予習していると、地元の伯父さんが声をかけてくれました。
 「羽黒山さ行くなら、国道7号××××の交差点で、北へ×××××、スーパー農道の××、赤い鳥居が×××、×××だか?」

 庄内地方の強い方言と早口が相まって、ほとんど聞き取れませんでした。なんとかわかったのは固有名詞ぐらいだったので、よっぽど困った顔を私がしていたのでしょう。近くに座っていた他の親戚の人が、笑いながら通訳をしてくれました。

 人の耳というものは、自分の中で意味を成さない音を聞き取るのが苦手なようです。
 英会話上達の秘訣として、「音を音のまま理解する」ということを良く聞くのですが、私の場合は母国語でさえ、聞き取った音を頭の中でわざわざ文字に変換してから意味を考えていることに気がつきました。
 そろばんをやっていた方ならお分かりでしょうが、計算時、勝手に頭の中にそろばんの珠が出てきて しまうような感じです。

 以前から、話すよりも書く方が自分の言いたいことを伝えられると思っていたのですが、原因が分かったような気がしました。

 一週間もすると、耳が慣れたことや身振り手振りも加わって、何とか日常生活に困らない程度の庄内弁が聞き取れるようになりました。そして、帰る頃には「んだー」と、相槌をうっている私がいました。

 すっかり名古屋弁での生活に戻ったゴールデンウィークの数週間後、母親と山形の親戚が電話で話していました。その会話を横で聞いていましたが、残念ながらさっぱり聞き取れません。バイリンガルへの道は険しいようです。

by 宮内