月曜日, 2月 26, 2007

動機付け

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1月20日の日本経済新聞の土曜日版に、大変面白いコラムがありましたのでご紹介いたします。

>  家の脇を通りがかりに大声で悪態をつく子供たちに、
> 老人は悩まされていた。ある日妙案を思いつき実行した。
>
>  悪態をついた子供たちに言った。
> 「明日も悪態をついたら1㌦ずつあげる」
> 子供たちは、翌日、喜んで悪態の限りを尽くす。
>
>  老人は約束のお金を子供たちに与え、
> 「明日もやってくれたら25㌣ずつあげる」と伝え、
> 翌日また悪態をついた子供たちにお金を与える。
>
>  「明日からは1㌣ずつしかあげられない」と老人が
> 言うと、もう子供たちは来なくなった

この話の中で、子供たちの行為(=仕事)自体は、最後まで何も変わってはいません。
その「目的」の方が、お金を与えられることによって、悪態をついて快感を得ることから、金銭を得ることへと変化してしまいました。

そして、一旦変化してしまうと、「得られる金銭の額」と「やるべき仕事」とがハカリにかけられて、仕事側のほうが重くなったときに、仕事をすることへの動機付けが失われてしまう訳です。

実際の会社の中でも、この話とは逆ですが、「やるべき仕事」は増加していき、「得られる金銭の額」は予算によって上限が決められてしまいますので、いずれは同じような問題が起きてしまうことになります。

このような状況下で、従業員の仕事への士気を保つためには、金銭による動機付けだけではなく、業務の達成感や自己実現による充実感、職場の仲間との一体感、上司からの評価、による満足感といった、仕事自体から生じる快感を得ることでの動機付けが必要になってくるように思います。

「きちんと給料を出しているはずなのに、従業員が仕事をがんばってくれない」という不満は案外こういう点に問題があるのかもしれませんよ。

by 小林雄