従業員を一人でも雇っている事業主は、原則として労災保険の加入手続きを行なわなければなりません。
これは、事業主の義務です。
この労災保険の加入手続きを怠っていた期間中に従業員に労災事故が発生してしまった場合でも、従業員やその遺族に労災保険は支給されますが、その一方で、事業主は、その支給された保険給付額の一部を負担しなければならないことになっています。
もちろん、別途、遡って労災保険の保険料も徴収されることになりますが・・・
今年の11月1日よりこの労災保険未加入の事業主に対する費用徴収制度が強化されました。
<今までの制度>
労働基準監督署から労災保険に加入するよう指導等を受けたのにもかかわらず、 加入手続きをしなかった場合には、「故意又は重大な過失」により手続きをしなかったものと認定されます。
この「故意又は重大な過失」により手続きをしなかったと認定された事業主は、労災保険未加入の状態で発生した労災事故につき一定の責任を負うことになります。
具体的には、従業員やその遺族に支給される保険給付額の40%を費用として負担することになっています。
<今回の変更点>
労働基準監督署から労災保険に加入するよう指導等を受けたのにもかかわらず、加入手続きをしなかった場合には、「故意に」手続きをしなかったものと認定されます。
今までの制度との違いは、事業主が負担する割合です。
「故意に」手続きをしなかったと認定された事業主は、労災保険未加入の状態で発生した労災事故につき従業員やその遺族に支給される保険給付額の100%を費用として負担することになりました。
つまり、保険料と保険給付額の100%を事業主が負担することになったのです。
さらに、以下の内容が新たに追加されました。
労働基準監督署からの指導等を受けていなかったとしても、労災保険の適用事業となってから一年を経過するまでに、労災保険への加入手続きを行っていない事業主に対しても一定の負担を課すことになりました。
この場合の負担は、保険給付額の40%です。
労災保険の保険給付の中には、従業員の死亡により生じる給付等のように給付額が高額になるケースも出てきます。このような費用を余分に負担しないためにも、労災保険への加入をお勧めします。
費用徴収制度の詳細については、お近くの労働局や労働基準監督署にお問い合わせ下さい。
by 鈴木