金曜日, 10月 28, 2005

土地の時価

土地の価格については、一物四価、一物五価と言われています。土地の適正な時価評価については、それだけ難しいということかもしれません。
「一体、どれが本当の時価なの?」という声も聞きます。
土地の時価というと一般的には、公示価格、基準値価格、相続税評価額、固定資産税評価額、鑑定評価額が挙げられます。

(1)公示価格
国土交通省が、全国約3万地点について不動産鑑定士に評価を依頼し、1月1日時点の価格を公表しています。
(2)基準地価格
都道府県知事が、不動産鑑定士に評価を依頼し、7月1日時点の価格を公表しています。
公示価格と同様に全国約3万地点の評価が行われています。
(3)相続税評価額
国税庁が、毎年1月1日時点の路線価、倍率を公表しています。公表されるものをベースに全ての土地の評価額を算定することができます。路線価は、公示価格の80%を目安に設定されています。
(4)固定資産税評価額
市町村長が、1月1日時点の評価額を公表しています。相続税評価と同様に全ての土地の評価額が把握できます。固定資産税評価額は、公示価格の70%を目安に設定されています。
(5)鑑定評価額
不動産鑑定士が、個々の土地の評価を行っています。因みに、公示価格及び基準地価格のそれぞれ約3万地点、相続税評価及び固定資産税評価のそれぞれ約40万地点について、不動産鑑定士の鑑定評価額が採用されています。

上のそれぞれの評価には目的があり、評価額は大きく異なることもあります。評価額が大きく異なるにもかかわらず、土地再評価法では、上の5つを全て時価と認めています。この法律を活用した金融機関は、公示価格、路線価、鑑定評価額とばらばらの評価を行ったそうです。
判例でも、課税庁側の主張する評価額と納税者側の主張する評価額で大きな開きがあり、争われるような事例も多くあります。
これらのことから、土地の時価評価は、難しいものであるといわざるを得ないでしょう。
土地の時価評価については、税理士・不動産鑑定士等複数の専門家に相談することが必要になると思われます。

by 小林 徹