先日、お客様とお昼ごはんをご一緒させていただいたときのことです。
事前に「そこの店は昼のメニューが一つしかなくて、これから個人経営の飲食店は、こうしていくべきだという、見本のような店で勉強になるから」とおっしゃっていました。
メニューが一つしかないということは、注文される可能性の低い食材の在庫を持たなくて済むのと、同じ料理なので、仕込みの段階である程度まで仕上げることが可能、というメリットが思い浮かびました。
一方、お客が好きなものを注文できないデメリットを、どのように解消したのだろう、と考えているうちに、店に着きました。
平日の昼時、立地条件も決して良くない場所にもかかわらず、席は満員で待たされている人がいました。
席につき、定員さんが数を聞きオーダーは終了。素早く、ミスがないメリットもあるなぁと思いながら、定食が来るのを待ちました。
値段はランチでは決して安くはない980円の焼き魚に刺身、その他4品ほどの小鉢と、お変わり自由のご飯の定食が出されました。
量と値段に納得はしたものの、この立地条件に引っかかりながら、箸を進めていき、はっとしました。
とても980円の定食では思いもよらない味の焼き魚だったのです。
私は、980円の量と値段に「納得」し、さらに光る一品で「満足」しました。
きっと、この店に一度訪れた人は満足して帰っていき、光る一品の話題を、私のように他の人に話したがり、この立地条件でも、口コミで広がっていたのだと思いました。
好きなものが注文できないデメリットは、そもそも、お店を選んだ時点でほぼ解決していることに気づきました。
(ラーメンを食べたくない人はラーメン屋には行かないというように。)
勉強になるからという一言を思い出しながら、人が集まるところには理由があり、裏を返せば、人を集めるためには理由がいる、その理由を見つけるのも楽しいことだと感じました。
by村上